<郵政改革>亀井氏独走やまず 民主、官業肥大に批判(毎日新聞)

 鳩山政権の主要政策の一つ、郵政改革が土壇場で宙に浮いた。郵政民営化路線の抜本見直しを掲げる亀井静香金融・郵政担当相が主導し、24日朝発表した改革案に、夜になって仙谷由人国家戦略担当相から異論が飛び出し、鳩山由紀夫首相も「これから決定していく」と議論のやり直しを否定しなかった。政策を巡る閣内の温度差は、郵政ばかりではない。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題や、官房機密費(内閣官房報償費)の情報公開に関しても首相と平野博文官房長官の足並みの乱れが目につくなど、政権の迷走ぶりは際立ってきた。

 郵政改革を巡り、閣内の意思が統一されていないことをうかがわせる動きはあった。

 亀井氏は24日朝に郵政改革案を発表し、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が払う消費税(約500億円)を減免する意向を示した。だが、直後の参院予算委員会で菅直人副総理兼財務相は「そういうことはない」と述べた。

 改革案は全国一律サービスを現在の郵便に加え、貯金や保険にも義務付け、非正規社員10万人の正社員化も打ち出した。コスト増を賄うため、金融2社の負担軽減を図る必要があり、柱の一つが消費税減免だ。だが、財政難の中、消費税減免を認める「特例措置」に対し、菅副総理の抵抗感は強いとみられる。

 郵政改革をめぐる政府・与党内の温度差は、昨年9月の鳩山政権発足の直後から、民主党と国民新党との間にあった。昨秋の臨時国会。国民新党は郵政改革の基本方針を定めた「郵政改革基本法案」の提出を求めたが、民主党は提出を渋った。「生活保護の母子加算などマニフェスト(政権公約)に載せた重要法案が先決」との意向が強かったためだ。結局郵政法案は見送られ、改革の基本方針は閣議決定という形でひとまず折り合った。

 その後の郵政改革の議論は亀井氏が主導。「政府から親会社、親会社から金融2社への出資比率はそれぞれ2分の1超。貯金限度額は現行の1000万円から3000万円、保険限度額は1300万円から5000万円に引き上げ」といった「官業肥大化の典型」(アナリスト)と言われる国民新党案を作った。

 一方、民主党内には「民業圧迫の象徴」として、貯金限度額引き下げを求める意見があった。民主党の原口一博総務相は就任直後、日本郵政グループの再編後の上場時期に関し、亀井氏の意向と異なる発言をして一蹴(いっしゅう)されるなど、両党間の路線は食い違っていた。

 今回の改革案は、国民新党案に比べると、政府の出資比率や貯金・保険の限度額引き上げが圧縮された。亀井氏は24日朝、「首相の了解をいただいた」と発言していた。だが圧縮されたとはいえ、限度額の引き上げ幅は大きく、「官業肥大化」の批判は根強い。再議論を求めた仙谷氏は、こうした点を意識しているとみられる。

 仙谷氏は24日、記者団に、郵貯や簡保で集めた資金の大半が国債で運用されている現状を指摘し、「どこへどう使うかが分からないで金を集めても(仕方がない)。お金が国債に集まって、日本経済の縮みを生んでいる」と限度額引き上げに疑問を示した。「巨額の郵政マネーが国債購入に向かい、有効に活用されないことを懸念している」との見方も出ている。【望月麻紀】

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